司馬遼太郎「峠」全3巻読了。
今年読んだ司馬遼太郎の本で一番面白かった。
2年前「八重の桜」の会津戦争で号泣した私としては北越戦争における河合継之助の無念も泣けた。
頭脳明晰であるからか、そもそも自分を曲げるということを知らないせいかとことん不器用で。
様々な不運も重なった小千谷談判における継之助の食い下がる場面などは哀しみを誘うものでした。
この本は数年前航空自衛隊の課題として出されたそうです。
確かに近年の世界における日本と近代日本における長岡藩は似た部分があるかもしれない。
少し前に読んだ「十一番目の志士」(こちらは全くのフィクション)とこの「峠」、まだ読んでない「花神」「世に棲む日日」とを合わせて大河ドラマになっています。
河合継之助は高橋英樹が演じたそうで...見たことがない分ちょっと見てみたい。
世にあまり知られていない河合継之助だけに、(結果はある程度見えているかもしれませんが)展開にハラハラすると思います。
割と長い(3冊で1500ページ近く)物語ですがオススメです。
多分薩長土がだいぶ嫌いになると思います...(汗)。
ただ、完全に継之助に同情する書き味な訳ではなく(悪いところも挙げている)、多分司馬遼太郎は山縣有朋が嫌いなんだろうけど(坂の上の雲などを読んでも)戦略眼の確かさを褒めているところなどは割と中立の立場で北越戦争を描いていると感じました。
個人的には最後割とあっさり終わったのが少しだけ残念でしたが、長岡城奪還で終わるかと思っていた分最後まで描かれていたのはよかったと思います。